北海道の稲作の水管理

北海道

 北海道の農業は畑作のイメージが強いかも知れませんが、コメについても全国で新潟県に次ぐ生産量を誇り、空知地方、上川地方を中心に稲作が行われています。銘柄は「ななつぼし」が40%、「きらら397」が25%、その次に多いのが「ゆめぴりか」です。田畑輪換も行っていますが、畑だったところは地力が強すぎて逆に味が落ちてしまうため、コメは主に加工用として作られます。また大規模に経営しているところでは育苗→田植えではなく、直播で栽培する技術も導入されています。
 北海道では降水の他に雪解け水が利用できるため、水資源の状況は比較的良好で、深刻な渇水はほとんどありません。最近では平成15年に渇水がありました。土壌については水はけが悪く、落水が1日あたり10mm以下のところが多いです。
 北海道の稲作技術は言うまでもなく低温対策が重要な要素で、その主な方法は水を深く入れることです。一般的な深水管理の場合の水深は60mm程度ですが、北海道では最大200mm程度湛水(水を張ること)することもあります。従って水田の造りもあぜをしっかりとしたものにして、排水も水尻の開閉だけでコントロールし、細かな水位の調整機構は基本的にありません。
 時系列的な水管理としては、中干しを幼穂形成期と出穂前の2回行うのが大きな特徴です。ただし低温の年には中干しを行わず、土壌還元による根への障害を防ぐこともあります。これも低温による直接的な障害とのトレードオフについて判断しながら行います。出穂後は、軽く水が浸る程度の状態にしてから間断灌漑を行い、出穂後25日くらいで落水(排水)します。その後収穫まで25日程度あるため、その途中で田面が乾燥したら走り水(田面が濡れる程度に水を流す)を行います。