新潟県の稲作の水管理

新潟県

 日本を代表する水田地帯である新潟県では、主に「コシヒカリ」が生産されています。山間部を除けば水資源には恵まれており、渇水になることはあまりありません。渇水に備えるためのため池も県内に200か所以上ありますが、その供給対象となる水田は面積にして全体の1割以下です。土壌は、西部の糸魚川地方と東部の新潟地方ではやや異なり、糸魚川の方が平野部が狭いせいか土粒が粗く、水が抜けやすい傾向にあります。それでも落水は1日あたり15mm程度ですが、肥料や農薬の保持という点から見ると、1日10mm程度が適正ではないかというのが担当者の方の感覚でした。一方で、糸魚川地方は山からの水量が十分にあり、水はけのよさをカバーしています。逆に新潟平野では水資源の量は糸魚川より少ないですが、土壌が粘土質なので水が抜けにくく、水資源と土質のバランスが取れています。土の粒度は一般的に山地では粗く、平地では細かいですが、新潟県でも山地の粗いところでは水が1日で80mmも落ちることがあるそうです。
 この地域の水管理の特徴は、間断かんがいより早めに水を入れる飽水管理と呼ばれる方法を取っていることです。通常、中干し後は水がなくなったら水を入れる間断かんがいを行う地方が多いですが、新潟では出穂前後の時期も含め、水が全部なくなる前に水を30mm程度入れる管理方法を取っています。この地域は夏季にフェーン現象が発生し、特に近年ではその高温による障害が問題になっていますが、水を早めに入れるのはその対策の一つのようです。高温対策については現在いろいろな方法を試験しているということです。ちなみに隣の富山県ではカドミウム対策として出穂前後の湛水(水を張ること)を行っています。